あれ?

ショウシャ

ばいばいの前に夢を

「最近へんな夢しか見てないんよ」
「へんな夢って、どんなん」
「わからん」
「は?なにそれ…」
「へんな夢だって感触と、空気は確かに体が覚えてるんだけど、それがなんの夢だったかは全く覚えてないんよ」
「ええ?あ〜…まあでも夢なんて覚えとらんわな、起きた時」
「そうやんね?でも、」
「うん?」
「なんか、あんたがすんごい八重歯むき出しで笑っとった時とか」
「うん」
「あの〜現国の先生、なんつったっけ、新しい人、」
「中山ン」
「それ、中山ンが、ほら喋る時首揺れるやろ?ぶりっ子女みたいに」
「揺れるね!男のくせにな!」
「そん時とかね、そのへんな夢みたときのこう、じわ〜っと嫌な感じ?」
「うん」
「あれだけ思い出すん」
「なにそれ…………え?あんた今わたしのことディスったよね?」
「………」
「いやなんか言えよ」
「へんな夢は結局、一個も思いだせんかったなあ」
「いや……まあええけど」
「卒業する前にあんたに一個くらいは、夢の内容教えてあげたい」
「なんでよ。別にいらんけどな。」
「あんた、このわたしが、わたしのみた夢の内容教えたろうって、これがどんだけ大きな意味をもつかわかっとらんの?」
「わかっとらんわ」
「まあ、意味とか、ないけど……」
「やっぱりな、…ちょっと、わたしの机で寝んといてよ」
「んん〜〜〜〜、眠いんやって、ほんとに」
「あれ?昨日20時にLINEしても返信してこんかったん誰よ?」
「誰?知らんなぁ〜…」
「あんたやって。昨日はよう寝たん違うんけ?」
「昨日は……シャドバ?」
「勉強せえよ、本当に、わたし浪人生と友達ではいられんからね?」
「えっそれ、差別発言やよ。ヘイトヘイト。あかんよそんなん。」
「そんなん言えるがやったら勉強せえって。マックでも行く?」
「んん……」
「どっち?行く?行かない?はよきめて?」
「いく………」
「オッケ。そしたらもう行こうよ。」
「ん〜〜…。了解…。」
「寝んといてよ?」
「はあ…」
「……」
「あんた……来年は近くにおらんのか…」
「……そうよ。やからあんた1人でも勉強ちゃんと出来るように今からなって………ちょっと、あくびせんといて」
「今年のうちは、許してよ」
「わかったから、はよ、勉強して、うちに帰ってから寝な。」
「……今日は、夢、忘れんようにするね」