あれ?

ショウシャ

雑記

しばらく息を潜めていた雪が思い出したかのようにごうごう降り始めたがバイトがあるので外へ出る。

 

全然来なかった路面電車に乗り込んで窓の外を見る。こんなに雪が降っていても、自転車を漕げる人がいる。こんなに雪が降っていても、ミスドに行く人がいる。路面電車の速度に合わせて流れていくミスタードーナッツ、アメリカにはもう1店舗しかないんだって、こんな雪の降る田舎で愛されてよかったね。

 

ミスドの鎧塚シェフプロデュースのドーナツは美味しいのか気になるが、よく考えたら美味しいドーナツってなんなんだ。ドーナツが美味しいって、なに?というか、美味しいってなに?美味しいの意味がわからなくなってしまった、ところでバイト先へ着く。バイトはそんなに嫌いではない。優しい先輩がいっぱいだから。お土産とかくれるから。

 

バイトは大分慣れてきて、信頼される部分が少しずつ増えてきた、が、わたしは人と協働して何か事を為すことができるということを信じていない、ということがなんとなく自覚できるようになってしまい、なんともごめんなさい、と心で唱えるに終わる。

バイトは美味そうなメシを運ぶ仕事です。

 

 

バイトが無事に終わり窓から外を見ると雪は止んでいたので、歩いて帰る。雪は雑音を吸着するので夜がより静かになり歩きがいがある。

魚屋が家の近くにあって、朝早くからこんな時間まで電気をつけて何かをしている。夜に魚を捌くのは未開の地の儀式のようだ。でもわたしは最近までここをずっと豆腐屋だと思ってた、ごめんな。

 

自販機でオレンジジュースを買おうとしたら10円の釣り銭がないから、と自販機に断られる。仕事をしろと 呟く。

 

 

無事に出かけて無事に帰る。部屋は寒いけど動けないことはない。

 

その時は誰かが死んだニュースなどがやっていて、非常に突然のことだったらしく、悲しむ声がよく聞こえた。誰が悲しんでいたのかはわからない。キツく結んでいた髪を解くとヘアピンが頭からするっと抜け落ちてしまったのでかがんで拾う。

もう一度目を向ければテレビが語っているのは今年の寒波の威力の大きさ。

 

 

ラーメンを食べる。