混ざり合い
「痛いのは嫌だな。痛いのはやだよ大吾くん。やっぱりわたしは痛いとか、苦しいとか、そんなものは知らないでいるべきだと思う。闇がなければ光はない、悲しみがなければ喜びもない、そんなことないって。対比して強烈にするよりも、当たり前に溢れる存在にするべきだよこの世の中で自分が享受したいものは。ね。
でも最近こうも思う。全部あいまいになればいい。暗さと明るさが分断されなければいい。痛いと気持ちいいが一緒にいればいい。悲しいものと、嬉しいものは、離れることなく一緒にいて、同時に感じられればいい。全部別々なんかじゃない。別々なんかじゃないよ。わたしのそばにはいつだって、全てが混ざり合ってまとわりついているんだよ。
わたしは理由なく死にたいな。麗らかな死にしたい。苦しむ黒い死にはしない。誰かに見守られて安らかに微笑んで死ぬのもわたしの好みじゃない。うたたねしてた、とか、ひざの裏がどうしてもかゆい、とか、そんな気分で死にたいの。あっ 、て。本当に、あっ、て言う間に、死ぬのがわたしのいつかの未来。それは明るくて暗いし、暖かくて寒いの。
ね、大吾くんはどうやってホームランを打ったの?」
帰り道 マックの店内で部活帰りの彼がチキンクリスプを2個食べてるのをまじまじと見てしまった。坊主頭を撫でてる彼に今すぐ駆け寄って、これ全部本当に口に出したら、彼は胃の中のもの、吐いちゃうかな。ちょっとそれはいいね。
希望だ。