あれ?

ショウシャ

高校1年から最後まで同じクラスだった女の子の友達がいた。1年の時は仲良くなかった。2年の時に仲良くなった。3年の秋、初めてその子の家へ行った。

なにも目的はなかった。昼ごはんも食べていなくて、なんにもない、白ごはんしかないって彼女が言いながら棚を漁っていて、安いたらこスパゲッティを発掘して2人分作ってくれた。こたつに並んで食べながらテレビを観ていた。バイキングの坂上忍を観て少しイラッとしながらこの時間を過ごすのが好きなのと彼女は言った。

食べ終わってもなにもすることがなかった。そのうち午後のロードショーが始まった。わたしたちは相変わらず並んで座ったまま、ぼーっと午後のロードショーを観ていた。彼女の飼っている、まるっと太った猫が部屋に入ってきた。抱き抱えたら嫌われた。カーテンの裏に隠れてもう出てこなかった。

わたしたちは映画にまったく集中していなかった。けれどもわたしはその映画のポイント部分ばかり掴んで観ていたのであらすじが把握できていた。彼女が なんでこの人拷問されてるのと言った。 前スパイをやってて、で始末されたはずなんだけど、死ななくて、でも記憶を失ってて、今普通の人として暮らしてたんだけど、それがバレちゃって、また始末されそうになってるの。

なんでそんなにわかってるの?と彼女は笑った。猫はいつのまにかいなくなっていた。

恋する惑星をそのまま観た。ラスト、なにこれ?って文句を言って終わった。中国人って理解できないね、って彼女が言った。わたしの制服はくちゃくちゃになってしまっていた。部屋はもう全容がみえない、夜だった。

彼女の姉と姉の彼氏が東京から帰ってきた。結婚式に出席するための服を買ってきたと言った。ZARAのワンピースをあてがって、彼女の姉がくるりとまわった。

彼女の姉の彼氏が車を出して、私を駅まで送ると言ってくれたので、4人で車に乗った。車の時計は狂っていた。

わたしは脳内で、こたつに並んでテレビを眺めるわたしたち2人の後ろ姿を、いつまでも思い描いていた。