近づく
「あ、待って…」
「うーん…ちょっと…案内板…」
「あそこにあるよ」
「あ、良かった…助かります」
「俺も高円寺来たことないんだよね〜〜 」
「ですよね〜〜、…。」
「…」
「うーん…」
「…」
「………この現在地ってアテになりますかね?」
「んん?なんじゃん?グーグルでしょ、グーグル。グーグルは大丈夫」
「なんでそんなグーグルに絶大な信頼寄せてるんすか?グーグルに親の仇でもうってもらったんすか」
「なにその発想、すごいなお前。いや逆にグーグル信頼してないのなんで?」
「俺、地図が好きなんで。手書きの地図が」
「手書きの地図」
「電子の地図は敵ですから、敵。」
「侵略者?」
「プレデターですよ」
「あー、…わかったわ〜〜。いやわかんないけど。わかったわ。」
「大体、なんで俺たちの現在地がわかるんですか、こんな小さい四角に」
「だから…あれ?だよ。ビーム。」
「ビーム?」
「ビーム?電波?GPSって何?」
「そのレベルの理解なのになんでビームっていったんすか」
「お前ツッコミキツイなさっきから」
「俺たちの現在地は俺たちだけのものですよね?」
「おお……そうだよ。俺たちの現在地は俺たちのものよ。」
「ここどこですか?」
「方向音痴じゃねえか。」
「右が南?み 繋がりで?」
「違うと思うわ。お前よくうちの大学入れたな」
「東西南北わかったところでどこにも行けないですよね。」
「俺の話全然きかないな、お前」
「きいてますよ。先輩マジ尊敬してるんで。」
「早く店見つけてくんない?」
「はい。こっちです。」
「本当に?」
「はい。俺たちの現在地はこれからです。」
「それなんか気に入ってるみたいだけど全然上手いこと言えてないからね?」